ピースウィングで行われたプレーオフラウンド第1戦川崎フロンターレ戦は2-1で勝利しました。
前半に中村と加藤のゴールで2点を先行し、その後ディフェンスラインのパス回しのミスから失点したものの1点差を守りきりました。
試合を振り返れば、この真夏を思わせる凄惨な炎天下が両チームの体力を容赦なく毟り取ったことは事実。
しかし、サンフレッチェの立場からすれば、この試合は3点、4点と容赦なくゴールを積み重ね、第2戦を単なる「消化試合」にするほどにアドバンテージを広げなければならない一戦だったはず。
確かに前半の2点先行のあと、ゲームをコントロールしながら体力を温存する「試合巧者」の振る舞いを見せたと言えば聞こえはいいかもしれません。
しかし実態は、勝負を決定づける牙を失った、中途半端で緩慢なプレーのオンパレードで、幾度となく訪れた決定機、絶対にネットを揺らさなければならない決定的な局面がありながら、ことごとく選択肢が雑で、フィニッシュの精度は信じがたいほどに低かったです。
ゴール機会を自らドブに捨てるような、主体性のないプレーの連続には怒りすら覚え、何年も苦渋を舐めらされてきた川崎相手に危なげなく勝利したことは賞賛できることですが、明らかに弱体化した川崎相手に1点差しかつけられなかったことが悔やまれる試合となりました。
長年、我々に屈辱の歴史を舐めさせ続けてきた天敵・川崎を相手に、ひとまず勝利を収めたこと自体は評価に値します。
しかし、現在の川崎は明らかに全盛期の恐ろしさを失い、弱体化。その落ち目の相手をホームで完全に仕留めきれず、わずか1点差のアドバンテージしか奪えなかったことは、痛恨と言うほかない。
唯一の救いは、この地獄のような酷暑の中、タイムアップの笛が鳴るまで泥臭く走り抜いた選手たちの献身性で、これには素直に頭が下がります。
また、あの目を覆いたくなるような失点ミスが、結果として緩みかけたチーム全体の精神のネジを締め直す「劇薬」として機能したことも、皮肉ながら事実。
佐々木翔の衰えに関しては、今に始まったことではありません。満身創痍で怪我人が続出しているスクワッドの中、キャプテンとして限界を超えて稼働してくれていることには、感謝こそすれ、これ以上を望むのは酷というものでしょう。
個別評に目を移せば、光と影がこれ以上ないほどに狂い咲いていました。
今日もゴールを決めた中村草太のキレ味は凄まじく、観ていて脳汁が出るほど爽快。だからこそ、彼はもっと傲慢に、強欲にゴールハントへ執念を燃やすべきでした。
一方の加藤陸次樹は、彼特有の「天性の意外性」が炸裂した。決してイージーではない、むしろ難易度の高い局面で見事なワンチャンスをモノにしてみせるあたり、やはりストライカーとしての野生の勘は健在ですね。
問題はここから。
松本のボランチとしてのパフォーマンスは、相変わらず「壊滅的」と言わざるを得ません。
中村の先制点をアシストした一瞬の仕事こそ評価するが、それ以外の時間帯は、ただピッチの中央を幽霊のようにフワフワと漂っているだけ。ビルドアップの局面では一切のタクトを振るえず、守備局面でも強度の低い中途半端なアプローチに終始。
攻守においてフィルターにも起点にもなれないこの男の体たらくを、ガウル監督は一体どういう意図で見過ごしているのか、理解に苦しみます。
そして両ウイングバック、東と新井の縦への推進力不足、すなわち「WBの機能不全」も重症です。
新井に関しては、もはやWBで起用すること自体が戦術的な損失、宝の持ち腐れ。新井はここ最近、ボランチの位置で新境地を開拓し、完全にそのポジションが板についてきています。
新井の卓越したサッカーIQと戦術眼を活かすなら、今すぐボランチに固定すべきでしょう。
さらに深刻なのは東だ。ガウル監督が彼のパフォーマンスに限界を感じ、評価を落としていることが透けて見えるような、実にお粗末なパフォーマンス。
データ上のアシスト数こそ稼いではいるが、彼には「ドフリーの状況」でなければまともにボールを前に運ぶ推進力も、相手を剥がすキープ力もない。ドリブルで仕掛ける姿勢を放棄し、安易なクロス配給マシーンに終逸し続ける限り、「精度の良いキックしか芸がない一発屋」の領域から一生脱却することはできないでしょう。
本日の試合、内容的には到底褒められたものではないが、「何が何でも勝ち切った」という結果のみは最低限評価したいですね。
決定機を何度もフイにする姿を見て、誰もが「そのうち手痛いカウンターを喰らって同点に追いつかれる」と最悪のシナリオを覚悟したはず。それを思えば、崩壊せずに試合をクローズしたことは奇跡に近いと言ってもいいでしょう。
しかし、この「薄氷の1点差」というアドバンテージが、来週のアウェイ戦でどれほど重い足枷になるか。
等々力陸上競技場という、サンフレッチェにとって文字通りの「魔境」であり鬼門の地で、このリードがひっくり返される確率は極めて高いと断言できます。
相手がどれほど弱体化していようが、等々力の川崎は別物と考えておいた方がいいでしょう。
今日のようなヌルい、中途半端なサッカーを継続すれば、アウェイで2点差、3点差をつけられて文字通り「粉砕」されたとしても、何の驚きもなく、痛い目を見る未来は完全に予見できています。
対して意味のない特別シーズンということで、ひっくり返されての敗北となってもそれはそれで反省点が出て良かったとも言えますが、内容と結果が伴った最終戦を見たいところです。
そしてこの日、ピースウィングのピッチには、切なさと最大の敬意が入り混じる特別な空気が流れていました。
今シーズン限りでの現役引退を表明した茶島が、ホーム最終戦のピッチに立ち、その雄姿を我々の目に焼き付けてくれました。
茶島は紛れもない「苦労人」。プロ入り後、その才能の芽が出るまでには気の遠くなるような時間を要しました。
しかし、あのクラブワールドカップの舞台で、世界の強豪を相手に怯むことなく躍動し、紫のユニフォームをまとってピッチを支配したあの輝きは、今なおファン、サポーターの心の奥底に鮮烈に、色褪せることなく焼き付いていることでしょう。生え抜きの誇りとして、彼の足跡はクラブの歴史に深く刻まれました。
さらに、トルガイ・アルスランもまた、今シーズン限りでの電撃的な引退を表明。
大怪我というフットボーラーにとっての絶望を乗り越え、不屈の精神でピッチに戻ってきましたが、復帰後は明らかに自らの負傷箇所、その限界を迎えた足を気にしながらのプレーを余儀なくされていました。
本人の中で、思い描く100%の完全復活には届かなかったことが、この決断の引き金になったのでしょう。
あの悲劇的な大怪我さえなければ、間違いなくあと数年はJリーグを、そして日本サッカー界を恐怖に陥れる圧倒的なパフォーマンスを維持できていたはず。
それを思うと無念でなりません。しかし、己の限界を悟った瞬間、未練を残さずスパッと身を引くその潔い引き際は、まさにプロフェッショナルとしての美学の極みであり、「あっぱれ」とスタンディングオベーションを送るほかありません。
この偉大な二人の引き際を無駄にしないためにも、残された戦士たちは等々力で文字通り死に物狂いで戦い、勝利という名の最大の餞別を勝ち取ってこなければならないでしょう。
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